【コラム】名古屋のPR会社がみる国内のPR市場
- cuaunited
- 2015年6月2日
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名古屋のPR会社がみる国内のPR市場
今月28日日本パブリックリレーションズ協会が「日本のPR市場」の推定市場規模が4,351億円、「PR業売上」が981億円と発表しました。
このような調査は、2007年から隔年で実施しているものの、「日本のPR市場」としての推計は初めてなのです。従来は「PR業の市場規模」として発表していましたが、「PR=パブリックリレーション」という枠だけではなく広義の意味でのPRという形での発表となりました。
これはPR会社としてのあり方が近年大きく変わって来ているという点が大きなポイントだと思っています。
以前も記事にしましたが、従来のPR会社というのは大きな予算を持っている広告代理店の下請け業務のような形で広告代理店が考えた企画やスキームに対してマンパワーやPRノウハウを提供し「とにかく動く」という広告とPRで縦割りの業界構造になっていました。
これはつまりPR会社がメディアリレーションを維持するための人件費としての算出であり、従来のPR会社としての収益にフォーカスすると上述の「981億円」という数値になるわけです。
981億円というとピンとこないかもしれませんが、ちなみに日本の広告市場が5~6兆円前後で推移しており、さらに狭めてここ数年でグンと伸びているスマホ広告市場は3,000億円程になります。
いかにPR市場というのが、主軸収益のみで捉えると小さい市場がかが分かると思います。
しかしながら、ここ数年でPR会社は大きく躍進をしており単体で上場する企業も増えてきました。
なぜこれほどまでに急成長できたのかというと、広告業よりも圧倒的に理恵利率が高いという点が業界の特色です。
例えば「スマホ広告市場」VS「PR市場」考えた場合、スマホ広告市場に特化した広告代理店の場合、市場規模は3,000億円程ありますが現実的なビジネスとしては媒体を取り次ぐ手数料ビジネスですから大体手数料としては「15%~20%」ほどの市場になります。
したがって、スマホに特化した広告代理店の純粋な市場規模は3,000億×20%(仮)=600億円となるわけです。
PR業界では、純粋な市場規模自体は981億円ですが、コアなPR業のみ見れば、広告業のような媒体仕入費用が全くない為限りなく高収益になります。仮に70%前後だと考えると981億円×70%=686億円となり、実はスマホ広告の手数料市場と変わらない構造になるわけです。
昨今では、デジタル分野やSNS分野の伸びが加速しており、従来のPR業+ネイティブ系広告やSNS広告、アドテクやデータマネジメントを組み合わせた高度なPR手法を取り入れる先進的なPR会社も出てきており、広告代理店と競合にもなりうる場合もあるのです。
したがって、PR会社が行う広義なPR業としては、芸能人を活用したイベントや記者会見運営などの「イベントPR」や雑誌やWEBのタイアップ広告(記事風の広告)の買い付け販売による「広告代理」、コンサルティング領域としてのPR活動など、PRが一つのマーケティング手法として台頭したことで従来の広告代理店とは違う切り口でのプロモーション展開を行います。
このような流れが近年大きく加速しているため、日本パブリックリレーションズ協会も「広義な意味でのPR市場」という推計に変えていったのでしょう。
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